ハードディスク40MBから、もう一度
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| 2000年に購入したPower Mac G4。友人に譲り、設置したときの記念写真 |
レイアウトをいじる日々だ。
我ながら苦笑した。
25年前に戻ったのかと思えば、いや、
本当は30年以上前から何も変わっていないのかもしれない。
ファイルを整理していたら、
2009年に書いた文章が出てきた。
「赤い日記帳」という、
2001年から続けていた
ホームページについて綴ったものだった。
あの頃の私は、誰かに読んでもらうためというより、
ただ自分の居場所をネットの片隅に置いておきたかった。
手打ちでHTMLを書き、ページを作る。
もちろん、すべてを一から作っていたわけではない。
配布されていたCGIスクリプトを借り、
掲示板やカウンターを設置した。
小さな部品を一つずつ集めながら、
自分だけの場所を組み立てていく。
その作業そのものが楽しかった。
まだスマートフォンという言葉すら、
今ほど身近ではなかった。
携帯電話でネットを見ることも、
一部のサービスに限られていた。
ネットの入口は、まだパソコンの前にあった時代。
個人ホームページがネットのあちこちに点在し、
それぞれが小さな世界を持っていた。
あれから長い年月が流れ、
インターネットの景色はすっかり変わった。
便利にはなった。
けれど私は相変わらず、
自分の場所を作る作業が好きらしい。
古いガラクタに少しずつ手を入れるように、
毎晩ホームページをいじっている。
今では遊びの範囲でCGIを使わせてくれるサーバーは、
ほとんど残っていない。
その代わり、JavaScriptが昔のCGIのような
演出を見せてくれる。
画面の中で何かが動く。
それだけで時間を忘れてしまう。
レイアウトを少し直しては表示を確認する。
リンクを書き換える。
画像を差し替える。
ファビコン一枚に何十分も悩む。
そしてFTPソフトを立ち上げる。
静かなサーバーへHTMLを送り、
返事の代わりにブラウザを更新する。
そんな小さなやり取りを繰り返していると、
不思議と昔の空気が戻ってくる。
気が付けば、記事を書くより
HTMLやCSSを眺めている時間のほうが長い日もある。
そんな夜が、案外楽しい。
思えば、昔からそういう人間だった。
33年前、40MBのハードディスクを7万円ほどで手に入れた。
今では信じられない容量だが、
当時の私にとっては大きな買い物だった。
目的は、アリスソフトの『ランス4』を遊ぶためである。
まだフロッピーディスクを何枚も入れ替える時代だった。
ゲームがハードディスクから起動する。
その速さには本当に驚いた。
しかし、気が付けばゲームそのものより、
DOSの設定をいじっている時間のほうが長くなっていた。
CONFIG.SYSやAUTOEXEC.BATを書き換える。
少しでも快適に動くよう試行錯誤する。
メモリの空きを増やし、設定を変え、再起動する。
誰に褒められるわけでもない。
それでも、自分のパソコンが昨日より少しだけ快適になる。
それだけで十分に楽しかった。
結局、昔から「使うこと」より
「いじること」のほうが好きだったのだろう。
だから今も、ホームページを更新しているというより、
ホームページそのものを相手に遊んでいる
感覚のほうが近い。
訪れる人は皆無である。
代わりに、海外クローラーは時折やってくる。
それでも構わない。
ブラウザを更新する。
思っていた通りになっているか。
その返事を待つような気持ちで画面を見つめる。
「お、少し良くなった」
そう呟いて、一人で頷く。
33年前も、きっと同じような顔で
DOSの設定画面を眺めていたのだと思う。
人間というものは、案外変わらない。
パソコンの中身は、
いつしかHTMLファイルばかりになった。
しかし、それらは私にとって宝物である。
ファイルさえ残っていれば、パソコンを買い替えても、
サーバーの置き場所が変わっても、
また同じ場所を作ることができる。
誰かが用意した場所ではなく、自分の手元に残る場所。
昔から、そういうものが好きだった。
今日も、夜になるとHTMLを開き、少しだけ手を入れる。
30年以上前、DOSの設定をいじっていた頃と、
やっていることは案外変わっていない。
40MBのハードディスクを前にしていた頃と同じように。
そんな時間が、今でも心地いいのである。
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この文章を書くきっかけになった過去ファイル
2009年9月16日「あれから8年か…」
ラベル: 長い文章
