7/20/2026

夏の入り口、ソースの香り

 先々週あたりから、夏が急に本気を出してきた。
サーキュレーターだけで
夜をやり過ごそうとしていたものの、
さすがに限界を感じ、寝るときのエアコンを解禁した。

今年は昨年や一昨年より少し遅かった気がする。
そんなことを考えながらリモコンの電源を押した。

そして今日、このあたりも梅雨明けした。
昨年は梅雨入りも梅雨明けもずいぶん変則的だっただけに、
今年はいつもの頃に
夏がやってきたことに少しほっとしている。

梅雨明け前のある晴れた日、
ふと思い立って川根方面へ車を走らせ、
家山の「たいやきや」へ向かった。

訪れるのは十年以上ぶりかもしれない。
店名のとおり、たい焼きが看板の店だが、
ラーメンや焼きそば、静岡おでんも並ぶ。

和菓子をほとんど食べない私は、
昔から焼きそばと静岡おでんを注文する。
この日も、その組み合わせは変わらなかった。

店内はエアコンがよく効いていた。
その涼しさの中で頬張る熱々のソース焼きそばは、
夏になると、不思議と美味しく感じる。

冷えた店内では、ソースの香りだけが強く印象に残った。
汗がすっと引いていく感覚も心地よく、
夏はこうやって始まるのかもしれないと思った。

この日もカメラを持ってきていた。
四月に一台買い足してから、
月に一度くらいはどこかへ出かけるようになった。
街を歩くことも多いが、
人が写り込んだ写真は載せにくい。

それでもシャッターを切るたびに、
その日の光や空気、
季節の匂いは、自分の中に残っていく。

写真に残せる景色もあれば、
文章だからこそ残せる景色もある。

写真には伝えきれない店内の涼しさも、
ソース焼きそばの香りも、
きっと今年の夏と一緒に思い出せる。

今年の夏は、
エアコンをつけて眠った最初の夜と、
家山で味わったソース焼きそばの香りから始まった。

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