7/21/2025

まだ夜でもないのに── 恋の歌が、やけに沁みる時間がある


   ナンシーとフランクの
「Somethin' Stupid」を久しぶりに流した。

やっぱり、どう聴いても美しい。
淡くて、無駄がなくて、文句のつけようがない。

なのに、その完璧さに触れた瞬間、
こちら側が少しだけ居心地悪くなる。

くたびれたTシャツ、スナック菓子、
乾ききらない洗濯物の匂い──
そんな夕暮れの部屋に、
「恋のひとこと」は似合っていない。

分かっていても、再生を止めないのは、
美しさへの憧れか、
そこに手が届かない自分への、
妙に乾いた諦めか。

ふたりの声が重なるたびに、
こちらの惨めさまで
一緒に混ざっていく気がする。

そして、それを悪くないと思う自分が、
案外いちばんどうしようもない。

ラベル:

頁のはじめへ