ハイそれまでョ─まるでダメ男カルパッチョ風─平成27年8月31日
ここ最近、身だしなみに対する無関心さが薄れてきて、
8月最後の土曜日だし、
たまにはネオン街の灯りでも浴びようか──
そんな気分になっていた。
ところが、財布と家計簿を見た瞬間、
頭の中のスイッチが落ちた。
大赤字。
夜風どころか、現実の風しか吹いていなかった。
結局、おでかけは中止。
代わりに、街はずれの魚屋で調理済みの海つぼを買い、
スーパーマム若松町で寿司を足して、
居酒屋ジターク(=自宅)で静かに飲むことにした。海つぼなんて、いつ以来だろう。
子どもの頃は、駄菓子屋の片隅でも売られていて、
小さなプラスチック皿の上で塩気だけがやけに強かった。
あれが、今ではちょっとした高級扱いだ。
まるで大出世を果たした数の子や大トロみたいに。
(もっとも、どちらも僕は苦手なのだが)
しかも、すぐ食べられるものは滅多に見つからない。
生の海つぼは売っていても、僕には扱いきれない。
八年ほど一人暮らしをしていたけれど、
まともな料理の記憶はほとんどない。
せいぜい、こてっちゃんをフライパンで温めるくらいだ。
……料理と呼ぶには躊躇する作業ではある。
ピーマンの種を捨てるものだと知らず、
そのまま食べていたことを女友だちに話したら、
「バカじゃないの」と笑われた。
あのときの笑い方が、なぜか今でも耳に残っている。
料理は僕には向かない。
そのへんは、貴女の出番なのだろう。
もっとも、肝心の相手は相変わらず不感症で、
こちらの言葉なんて、まともに届いていない。話を戻す。
計算し直してみると、ここ半年ばかりの
キャバクラ通いのせいで、
全財産は軽自動車がもう一台買える額ほど減っていた。
馬鹿だと自分でも思う。
でも、財布の数字より厄介なのは、
そこに積もった癖みたいなものだ。とはいえ、昨日の海つぼはうまかった。
爪楊枝で殻をほじりながら、
最後のワタがすっと抜けたら
「カイカン…」と言えるのだろうが、
僕はいつも通り、途中でちぎってしまった。
そんなところまで不器用なのだから仕方ない。
──まるでダメ男、カルパッチョ風。
薄くスライスしなくても、もともと薄いのに。
ラベル: 過去のWeb日記



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