11/01/2024

青春の光と影──ファインダーのない街角

かつて所持していた二重像合致式のカメラ

   ファインダーのあるカメラが欲しい。
できれば二重像合致式──レンジファインダーのものを。

2021年6月、発売日に買ったオリンパス・ペンE-P7は、
もう容赦なく使い込んだ。
プラスティック外装は頼りないが、
静止画を撮る道具としては十分に仕事をしてくれる。

液晶モニターを覗き込む姿勢は、どうにも不審だ。
街角で構えれば、盗撮だの職務質問だのが頭をかすめる。
猫も杓子もスマートフォン──そんな時代の構えでもある。

本当はストリートを撮りたい。
だが、太陽光が液晶に入り込めば構図も揺らぐ。
結局、静かなものを相手にレンズを向けることになる。
女性を撮らない理由は単純で、
自分も人からカメラを向けられるのが嫌だからだ。
老け方に自信もない。
余計な記録は、残らないほうがいい。

涼しくなり、撮影は増えた。
ただ、動画はどうにも苦手だ。
その場に長くとどまる必要がある、
というだけで落ち着かない。

日本のカメラは回線速度と群集心理に押され、
動画機能ばかりが膨らんでいく。
余計なものを背負えば、道具の値段も上がる。

スマートフォンにもファインダーがない。
あの構えが、どうにも自分には似合わない。
最近は動画と派手な音の洪水で、目も耳も疲れやすい。
私は、静止画の静けさに戻りたい。
──Instagramに載せた写真を、ここにいくつか写しておく。
なんの変哲もない住宅街でも、
ペンのアートフィルターを通せば、
1998年頃のロモや古いインスタの匂いがわずかに残る。
焼津の海岸では、センサーをいじることで想像がふくらむ。
やはり自分は静止画の側の人間らしい。
1997年、35万画素で12万円のデジカメを使っていた。
粗いドット柄の写真は、実用には遠かった。
それが今や、この水平線を濃い色で切り取れる。
ペンE-P7のカラープロファイル3は、
あのフジクローム・ベルビアを思わせる発色だ。

ISO200に固定している。
もし新しいペンFが出れば欲しい。
けれど今のE-P7でも、静止画の愉しみは十分だ。
外装は傷だらけでも、道具は使ってこそ意味がある。
できれば昔のダイキャストや真鍮で作ってほしい──
あの頃の日本製は、質実剛健だった。
その名残を求めて、ついライカのカメラを見つめてしまう。
──ハイカラな静岡市役所。

──パンケーキレンズを逆付けにして撮った萼。

──SNSで話題になった中華蕎麦屋。

──涼しくなったので借りてみた電動自転車。

──昔、この公園のベンチで食べた弁当の記憶。
Instagramの「ストーリーズ」は、いまだによく分からない。
年齢を重ねるほど、世間知らずになるものだ。

写真というのは、不思議なものだと思う。
それは、青春の光と影にも少し似ている。
記録に残らない瞬間ほど、なぜか心に長くとどまる。

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