1/05/2024

紙の新聞を、久しぶりに


   久しぶりに、紙の新聞を読んだ。
読むつもりで読んだというより、
そこにあったから、なんとなく広げただけだ。

一面から社会面へ、
途中で広告に目が止まり、
気づくと、さっきまで興味のなかった記事を
最後まで読んでいた。

ネットでは、こうはいかない。
読みたいものだけが、こちらの関心に合わせて並ぶ。
便利だが、少し息苦しい。

新聞は不親切だ。
関心の有無などお構いなしに、
世界を一枚の紙に押し込んでくる。
逃げ場がない。
だからいいのかもしれない。

政治の隣に、事件があり、文化があり、
どうでもよさそうな広告がある。
それらが同列に置かれている。
世界は本来、そんなふうに雑然としていたはずだ。

ネット広告は、こちらの過去を覚えすぎている。
新聞の広告は、こちらのことを何も知らない。
その無関心さに、少し安心する。

新聞が正しい、ネットが間違っている、
そういう話ではない。

ただ、自分の関心だけで
世界を切り取っていると、
知らないうちに視野も、気分も、狭くなっていく。

紙の新聞には、それを少しだけ強引に戻す力がある。

読み終えて、紙を畳む。
指先に、わずかなインクの匂いが残る。
それだけで、今日は少し、
ちゃんと世の中に触れた気がした。

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