12/09/2023

吸着の窓、静かな走行


   名古屋の街を抜け、常滑へ向かう短いドライブだった。
Canon PowerShot V10を、助手席の窓ガラスに吸着させる。
Amazonで見つけたUlanzI製のGoPro用吸盤マウントは、
走行中も不思議なほど安定していた。

透明なガラスに固定すると、画面下に映り込みがちな
ダッシュボードは消え、視界には前方の道路だけが残る。
静かに、正確に、走行そのものを記録できる。

昨年12月7日。
名古屋インターチェンジから市内を抜けるまでの道のりと、
さらに郊外へ向かう区間。

合わせて一時間ほど、4Kの映像を
内蔵バッテリーだけで撮り切った。

機材の限界を確かめる、というほど大げさなものではない。
だが「撮れるところまで撮った」という実感は、
確かに残った。
車にはAC電源を増設してある。
給電しながらの撮影もできる。
今回はケーブルがわずかに届かず、
後半は記録を諦めた。

惜しさはあったが、同時に静かな満足もあった。

次は、もう少し長いUSB-Cケーブルを用意しようと思う。
それで十分だ。

SDXCカードが満杯になれば、
MacBookへすぐに転送できる。
黒い筐体は、いまや私の移動式の編集室であり、
記録の倉庫でもある。

編集ソフトは、まだ決めていない。
純正で足りる気もするし、
別の力を借りたくなる瞬間もある。

だが、画面に向かって
一人で黙々と作業する
冬の時間を、私はさほど悪いものだとは思っていない。

ドライブという行為は、思いがけず
自分の内側に余白をつくる。

誰かの言葉に振り回されるより、
ただ、見知らぬ道を進むほうが
いまの私には健やかだ。

人生の記録は、案外こうした
無名の時間の中に宿るのかもしれない。

少なくとも私は、そう信じてみたくなっている。

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