10/16/2023

テルスターと顎関節症の夜に ──まだ宇宙旅行はできそうにないね


   昨日に続いて、エレキギターの話をする。
ボーカルのない音楽が好きだ。
とくに、エレキのインストゥルメンタル。
歌詞がない分、聴き手の側で勝手に物語が始まる。
それは、誰にも邪魔されない、静かな妄想だ。

英国のトルネイドーズを知ったのは、
ベンチャーズ経由だった。
ベンチャーズは、シャドウズの《アパッチ》も、
シャンティーズの《パイプライン》もカヴァーしている。
どれも見事な演奏で、文句のつけようがない。

ただ、《テルスター》だけは違った。
本家の音は、明らかに遠くまで飛んでいた。

YouTubeで初めて聴いたとき、理屈抜きに、
これはすごいと思った。
あの音は、たしかに宇宙を志向していた。
──それにしても、
六〇年代のスペースロックから、もう六〇年が経つ。

それでも、宇宙旅行はまだ日常にならない。
この国では、空よりも地面のほうが、ずっと現実的らしい。

顎が痛む。
右の首、右の肩も重たい。口を大きく開けることすら、
少し億劫だ。
身体のどこかがうまく動かないだけで、

宇宙は、ずいぶん遠くなる。食事は、自然と慎重になる。
音楽のようには、身体は思い通りにならない。

追記として、
シャンティーズの《パイプライン》も挙げておく。
ベンチャーズの鋭さとは違い、
オルガンの響きが、夜の街によく馴染む。
少し湿った、都市の音だ。

宇宙には、まだ行けそうにない。
今夜はせいぜい、音の中で、その距離を測るだけでいい。

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