8/26/2023

嵐げんこつらあめん──藤枝の夜に


   木曜の夜、藤枝まで車を走らせた。

この夜は、銀次郎ではなく、嵐げんこつらあめん。

風呂あがりだったこともあり、
食べれば汗をかくのはわかっていた。
それでも、胃にジャンクなものを
落としたい衝動のほうが勝った。

案の定、汗は止まらない。
小さなハンカチでは追いつかず、
それでも後悔はしなかった。

蒸し暑さが続く夜だった。
辛いものは好きだが、湿気には弱い。
そのくせ、壺ニラもやしを二人前頼んでいる。
最初は素のまま。
次に胡椒。
秘伝のタレ。
にんにく三片。
このあたりで、汗は限界だった。
肝心の壺ニラもやしを
入れ忘れていたことに気づいたのは、
もう終盤だった。
空腹に押され、
猫舌のくせに早食いしてしまったせいだ。
量は、少なく感じた。
胃より先に、気分のほうが満腹になっていた。

ラーメン屋にいると、
いつもどこか、身体の置き場が決まらない。

それでも最近は、
避けていた場所に自分から足を向けている。
理由はよくわからない。

この夜は「ぶためし無料」を使ったが、
腹は完全には満たされなかった。

ただ、七百八十円で済んだ、という数字だけは覚えている。

夜明け前の空気を吸い込みながら、
朝風呂に入って、もう一度眠り直すのも悪くないと思った。

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