銀次郎と、ぶためしの午後
まず、丼が運ばれてくる。
肉増しの姿は妙に威風堂々としていて、
しばらく眺めていたくなる。
スープを蓮華ですくう。穴の空いていない方で。
当たり前のことなのに、なぜか一度、確認したくなる。
最初は何も足さない。すっぴんの一杯を確かめる。
それから卓上の調味料に手が伸びる。順番は決めていない。胡椒で輪郭が荒くなる。
ゆかりを散らすと、後味がふっと澄む。
意外だが、よく馴染む。にんにくは三片。
少し欲張った。二片でよかったかもしれない。
その小さな後悔も、この丼の一部だ。
終盤、酢を落として軽くする。
最後まで、気分が少しずつ動く。そして、ぶためし。
無料の選択肢が並んでいても、迷わずこちらを選ぶ。
残った壺ニラに一味と酢。
小さな丼が、きちんと一品になる。
勘定は1,020円。
安さよりも、「きちんと味わった」という手応えが残る。
この「ただ」を思い出すたび、また行きたくなる。
ラベル: 食通風気取り




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