007は二度死ぬ——東京の夢と、ボンドの不在
ショーン・コネリー版のボンドが、
いつでも観られることだ。
月額の元なんて、それで十分に取れている
(気がしている)。
「ロシアより愛をこめて」と
「ゴールドフィンガー」は定番として、
テーマソングだけで選ぶなら、
ナンシー・シナトラの「007は二度死ぬ」
がどうしたって頭ひとつ抜けている。 あのイントロは、東京の夜に異様に似合う。
実在の東京ではなく、映画が夢見た——
少し湿り気を帯びた、どこか嘘っぽい東京。
肝心の内容は、正直言えば大味だ。
それでも、60年代の日本がカラーで息づくというだけで、
再生ボタンを押す価値はある。
TOYOTA2000GTのリトラクタブルライトは、
未来を覗き込もうとしている。
にもかかわらず、ボンドはハンドルを握らない。
助手席で涼しい顔をしているだけ。
それでも、あの車は間違いなく「ボンド」だった。
二人の日本人ボンドガール。
ただならぬ気配。
演技なのか、時代の磁場なのか。たぶん、その両方。
この映画を観るたびに思う。
東京という都市は、一度死んで、また蘇る。
そのたびに姿を変え、少し大げさな夢をまとって。
スクリーンの向こうで、何度も生き返り続ける街。
僕はほとんど行かない。
というより、行けないままの東京を、
どこかで手離したくないのかもしれない。
ボンドが二度死ぬなら、
東京は、何度でも夢の中で生き返る。
少し嘘くさく。
そこがまた、いい。
ラベル: 好きな音楽
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