10/25/2021

サイゼリヤの復権


   緊急事態宣言が解けたその日、
私が真っ先に向かったのはサイゼリヤだった。
あの安ワインを、店の空気の中でまた飲める──
それがどれほどの喜びだったか。

二か月ぶりの酒だ。
家で飲んでも悪くはない。
けれど、外で飲む一杯のあの微かな緊張、
うっかり何か失敗してしまうかもしれない、
あのざらついた感覚こそ、私には必要だった。
席に着くや、迷わずハウスワインを頼む。
サイゼリヤでは、これを飲まなくては始まらない。
合わせるのは、爽やかにんじんサラダと
柔らか青豆の温サラダ。
オレンジと緑が赤ワインに寄り添い、目にも鮮やかだ。
──こういう幸福の形もある。
さらにカリッとポテトを追加し、
締めにはペペロンチーノ。
「アーリオオーリオペペロンチーノ」と
会話で正式名称を言い切る勇気だけは、
まだ手元にない。

こうして、二か月ぶりの
ひとりサイゼ宴は静かに幕を閉じた。
普通の居酒屋よりずっと安く、
きちんと満たしてくれる。
やはり、この店が好きだ。

注文用紙にボールペンで書く、
あの少し古めかしい方式だけは、
時々笑ってしまうけれど。

そういえば、
「サイゼリヤ」を「サイゼリア」と
間違える人が意外に多い。
なぜなのだろう。
ワインのグラスを指先で回しながら、
ふと考え込んだ。

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