牛丼屋未経験者、吉呑みへ行く──夜の吉野家で見つけた自分の席
9月10日、木曜の真っ昼間。
24時間営業の「目利きの銀次」に、
女友達・男友達、それから僕の三人が久々に顔をそろえた。
前に会ったのは一年半前。名刺の角のように
硬く積もった時間も、
ジョッキの泡がひと息で溶かしてくれる。
静岡にも、昼から気兼ねなく
集まれる場所ができたのは喜ばしい。
ただ、モンテローザのクーポンを
使っても会計は少し高くつき、
惜しむ余韻を残して宴はお開きになった。
夕方。ひとりに戻った僕は、
浮いた気持ちを持て余すように街へ出た。
向かった先は、
夜は居酒屋へと姿を変える吉野家──「吉呑み」─。
実を言えば、僕は牛丼を一度も食べたことがない。
カウンターで俯きながら無言でかき込むあの風景に、
どこか踏み込めずにいたのだ。
すき家も松屋も同じ。
「外食のテンション」を置き去りにしている気がして。
ところが
「ホッピーがある」と聞いた途端、躊躇は霧散した。
扉は、気づけば押されていた。
品書きには肉料理がずらり。
煮込みのつゆをまとった煮玉子は、
黄身までしっとりと染みていて、ひと口で心がほぐれた。
呉服町店は禁煙で、電子マネーもWAONのみ。
その不器用な線の細さに、少し吉野家らしさを感じる。
肩の力を抜いたまま、夜の街とだけ向き合える。
そんなささやかな場所が、ここにはある。
はじめての吉野家で、僕は自分の席をひとつ拾い上げた。
ラベル: 食通風気取り

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