8/06/2015

国道ほうれい線──肌の衰え酷し


   人からよく、
マイペースだと言われる。
便利な言葉だと思う。
深入りせずに済むし、
こちらも説明しなくていい。

さっき雷が鳴った。
雨はまだ降らない。
アスファルトに残った熱だけが、
行き場を失っている。

家では冷房を使わない。
決まりというより、
習慣に近い。
その代わり、
立地だけは悪くない場所に住んでいる。
夏は、身体で払っている。

今年の暑さは露骨だ。
立っているだけで汗が落ちる。
不快だが、
汗をかくうちは、
まだ大丈夫だとも思う。

仕事を離れて、
一か月ほど経った。
会社が畳まれた。
それ以上でも、それ以下でもない。

時間はある。
使い道は、あまりない。
食欲も、性欲も薄い。
眠ることだけは、
問題なくできている。

明日は、失業手当の関係で、
履歴書の書き方を聞きに行く。
同じ立場の人間が集まる場所だ。

励まし合うというより、
互いの様子を確かめ合う、
そんな空気に近い。

同じく無職の知人から、
飲みに行こうというLINEが来ていた。
どちらも、
ついこの前まで同じ職場にいた人間だ。

二人とも、
特別に悪い人間ではない。
ただ、話の流れは想像がつく。

酒が入って、
「今は耐える時期だよな」と言い合い、
別れたあと、
「今日はありがとう」という
律儀な文面が届く。

そういうやり取りに、
今は少し疲れている。
だから、
「また今度」とだけ返した。

セミナーが終わったら、
まっすぐ帰るつもりだ。
ニュースを流し見して、
風呂に入る。
蚊取り線香を焚いて、
気が向けば、LINEを確認する。

何も来ていないかもしれない。
それでも構わない。

マイペースでいる、というのは、
好き勝手に生きることではなく、
これ以上、
余計な摩耗を増やさない、
というだけの話だ。

今日はそれで、
十分だと思っている。

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