8/02/2015

義務だけがまっすぐだった日


   国民には三つの義務がある。
教育、勤労、そして納税。
その並びの中で、教育だけはもうずいぶん前に通り過ぎた。
ただ、その名残のようなものが、
今もどこかに残っている気がする。

今日、自分が確かに果たせたのは納税だった。
還元率のいいカードでnanacoにチャージして、
市県民税、国民健康保険、国民年金。
決まった額を、決まった場所へ。
淡々と、だが確かに納めた。

胸を張るほどのことではない。
それでも、義務をひとつまっすぐに果たせた。

勤労の義務も、いつかまた満たしたい。
働きたい。社会ともう一度つながりたい。
けれど求人は思うように見つからない。

日経トレンディの節約特集を読み、
運動で体力をつないで、年末をどうにか
越える段取りを考える。

ふと祖父母の言葉が、背中の奥でまだ温度を持っている。
「まじめに生きていれば、そのうち良いことがある」
夏の縁側、風鈴の影。
その光景だけは、今の暮らしにかすかに続いている。

権利の声が大きい世の中で、
せめて義務くらいはまっすぐに果たしていたい。
笑われても、古いと言われてもかまわない。
いまの自分には、それがいちばん自然な歩き方だ。

nanacoに少しだけポイントが貯まっていた。
その隣にある領収書が、
今日、僕が前へ進めた小さな証だった。

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