7/16/2015

夜と朝のあいだに


 昨夜は、中学時代からの同級生と、
僕が結婚して子どもがいたなら、
娘でもおかしくない年齢の
二十代前半のホステスの女の子二人と飲んできた。

この子たちと同じ年齢の頃、
「アッシーくん」や「メッシーくん」
という言葉が横行していた時代だったが、
僕はそんな世界とは無縁だった。

恋愛よりもオートバイに夢中だったし、
恋愛ドラマのような世界にも、さほど憧れはなかった。

趣味は大事である。

それでも、そんな僕にも、
ずいぶん遅れてドラマみたいな夜がやってきた。

一軒目は、かぶら屋御幸町店。
二軒目は、同級生のお気に入りの子が知っている
「Rose」というカラオケバーだった。

若い女の子は高級な店を好むものだと、
勝手に思っていたが、実際はそんなこともなかった。

焼きトン屋でも楽しそうに笑ってくれる子もいる。

もちろん、僕らが「ご馳走おじさん」
という便利な存在だっただけかもしれない。

それでも、八時間も飲んで食べて
付き合ってくれたことは素直にありがたかった。

一緒に行った同級生の、適度にスケベで
実に気持ちのいい酔っぱらい方も見ていて楽しかったし、
水商売の仕事がある日にもかかわらず、
こんな加齢臭のするオヤジたちと
焼きトン屋へ来てくれた女の子たちにも感謝している。

幸い、その埋め合わせを請求されることもなかった。

本当は、もっとしゃれた店へ
連れて行ってあげられればよかったのだけれど。

この頃になると、僕もかなり酔ってしまっていた。

かぶら屋から「Rose」までどうやって移動したのかも、
ほとんど覚えていない。

一人の女の子が途中で帰ったことだけは覚えているが、
もう一人を実家までタクシーで送ったあたりの
記憶は曖昧である。

午前三時の両替町。

台風の影響で、雨が静かにぱらついていた。

タクシーの運転手さんは、とても気さくで親切な方だった。

約二週間前、僕は会社の廃業で職を失い、求職中だった。

転職先の候補として、
タクシー運転手という仕事にも興味があった。

以前の職場では専任運転手をしていたこともあり、
その話をすると、運転手さんは二種免許のことや
仕事の内容を、
手近な紙に走り書きしながら丁寧に教えてくれた。

家に着いて料金を支払うときだった。

運転手さんが笑いながら言う。

「さっき送ったあのオンナノコ、キレイだね」

また苦笑いである。

短い時間だったけれど、とても楽しい運転手さんだった。

車が見えなくなるまで見送り、
深々と頭を下げて家へ入ろうとした、
その瞬間、酔った勢いで玄関先ですっ転んだ。

また手に生傷をつくってしまった。

さすがに今日は酒を飲むのはやめておこう。

しばらくは、こんな夜も控えようと思う。

それでも昨夜は、本当に楽しかった。

一緒に時間を作ってくれたみんなに、
心からありがとうと言いたい。

あの子たちにも、
それぞれ幸せな毎日が続いていてくれたらと思う。

そして今日、『エイジハラスメント』を観た。

ドラマの最後、主人公が吐き捨てるように言った。

「若いオンナが好きなオトコはバカなんだよ!」

昨夜のことを思い出し、僕は苦笑いするしかなかった。

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