8/31/2014

ついて来いとは、もう言わないけれど


   八月も、今日でおしまい。
夜の窓を少しだけ開けると、
遠くで車の走る音が、乾いたまま流れていく。

このひと月、何をしていただろうか──
そんなことを考えているうちに、
夜は静かに更けていった。
九月になると、今年も残り三ヶ月。
本当に早いものだ。

それにしても、今年の夏は案外、
過ごしやすかった。
去年の今ごろは、朝晩でも25度を下回らず、
連日のように熱帯夜だった記憶がある。
それに比べれば、今年はまだ風の気配があり、
少し救われたような気がしている。

思い返せば十年前の今日は、台風がやって来て、
窓の外は激しい風と雨で騒がしかった。
当時はまだ雨戸のないアパートで、
小枝が窓にぶつかるたびに、
ガラスが割れやしないかと、
妙に神経質になっていたのを覚えている。

さて、昨日は髪を切った。
トップがどうにも言うことを聞かなくなり、
整髪料で押さえても跳ね上がるようになったので、
観念して髪切り屋さんへ向かった。

いつものように白髪染めと、ハイライトを少し。
この「いつも通り」にも年々時間がかかるようになり、
今では五時間ほどが当たり前になってきた。

それでも、鏡に映る自分の輪郭が少し整うと、
気持ちも、わずかに引き締まる。

振り返れば、今年の夏は悪くなかった。
服も少し工夫したし、
花火大会に出かけたり、
人と会って軽く飲んだりもした。
二週間に一度くらいのペースで、
外の空気を吸いに出ていた。
それくらいの距離感が、
今の自分には、ちょうどいい。

九月からの過ごし方はまだ決めていないが、
秋物の服や香水など、
小さな楽しみは用意しておきたい。
季節の隙間に、
ささやかな喜びを落とさぬように。

仕事は相変わらず不安定だが、
まあ、なるようになるだろう。
これまでも、そうだった。
これからも――
たぶん。

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