現実逃避エステ
暑い。
都市の空気が、帽子の下でじっとりとこもる。
昨日は、業務中に雨に叩かれた。
背中まで濡れ、制服の内側に冷気が入り込む。
震えるほど寒かった。
それなのに今日は、
また別の種類の不快がまとわりつく。
この寒暖差は、
身体にとって、あまり親切ではない。
更年期障害という言葉が、
ふと頭をよぎる。
かつて「チヤホヤ」が当たり前だった世代の、
動きたくない、という愚痴。
笑えない気もして、
少しだけ、わかる気もした。
僕は、長めの髪を帽子の中に押し込み、
働いている。
帽子は業務上の必須装備だが、
頭皮には過酷だ。
蒸れる。
だから、快楽には妥協した。
二年前に買った
Panasonicの頭皮エステが、
一昨日、突然、動かなくなった。
思わぬ出費にため息をつきながら、
新しい機械を迎え入れる。
洗髪の順番が、
少しだけ楽しみになる。
ドライヤー。
歯磨き。
睡眠。
そして、ようやく四連休。
誰にも会わない。
映画も、たぶん観ない。
神経をほどくためだけの時間。
都市の隙間に立ち、
帽子を脱ぐ。
蒸れから解放される。
それだけで、今日は十分だった。
こうして書いていると、
頭にこもっていた空気が、
ほんの少しだけ、乾いていく気がする。
ラベル: 日記

<< ホーム