9/29/2013

指紋と金色──iPhone 5s購入記


   指紋認証の動画を見た瞬間、
少しだけ未来が近づいた気がした。

これは凄いかもしれないと思い、予約。
昨日、それが手元に届いた。

今回の購入理由は、それだけだ。
それだけ──なのだが、
それが思いのほか大きかった。

まず、指を登録する。
親指、人差し指、中指。
自撮りのような気分で、何本か試してみる。

「このあたりがイケてる僕なのだろうか?」

などと思いながら、淡々と設定を終える。

便利だ。
これまで煩わしかったロック解除が、
指先の軽い動作に置き換わった。
ジェスチャーというより、
習慣の一部になりそうな予感がある。

本体はゴールドの64GB。
Apple純正のレザーケース(ブラウン)を、
即座に装着した。

裸のままでは、
どうにも落ち着かない色だったからだ。

ゴールドという色は、主張が強すぎる。
とくに側面の金色には、
あまり好感を持てなかった。

それでもゴールドを選んだ理由は、ただ一つ。
ホームボタンを縁取る、あの金の輪郭に惹かれた。
その小さな意匠だけで、色を決めた。

機能に惹かれて買い、細部の造形に納得し、
色に迷い、ケースで調整する。

iPhoneを買うという行為は、
いつも少しだけ面倒で、
それでも記録に残しておきたくなる。

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9/23/2013

ゆるキャラねぇ…


   あの

「緩い」

「のんびり」

「力みがない」

感じのキャラたち。

言葉にすれば穏やかそうなのに、実際に向き合うと、
どういうわけか手ごわい。
僕はゆるキャラに、どうにも心を許せない。

ただただ緊張してしまうのだ。
地元をはじめ、あちこちの
「ああいうキャラクター」に対して、
なぜか愛着が湧かない。

きっと愛着を持てたほうが、
生きるうえでは少し楽なのだろう。

けれど、そこへ辿り着くには、
今の僕には妙にエネルギーがいる。

そんな自分に、また少し苦笑いしてしまう。

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9/02/2013

美意識過剰


   趣味上、女性の写真はそれなりに見てきた。
露骨なものも、そうでないものも。
正直なところ、もう驚くことはあまりない。

それでも、ときどき、
理由の説明できない引っかかりが残ることがある。

ありきたりな言い方をすれば、
「魂を奪われた」というやつだ。
そう表現するしかない自分に、
少しだけ苦笑いする。

唇を半開きにしている女性に、
なぜか視線を持っていかれる。
それが欲情なのか、美意識なのか、
自分でも判別がつかない。

もし言葉を交わせる場面があったとしても、
唇のことは口にしないだろう。
代わりに、骨格だとか、
肩の線だとか、
どうでもよさそうな部分を褒める気がする。

そういう遠回りの仕方しか、
自分は知らない。

もちろん、
そんな相手に出会う可能性は低い。
低いどころか、
最初から想定していないほうが現実的だ。

それでも、
こうして一度、言葉にしておかないと、
自分の中のどこかが落ち着かない。
美意識過剰というより、
過剰なのは、たぶん自意識のほうだ。

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恥ログ──ファボされたい病


   SNSというのは、
独りよがりな自己顕示欲を、
思いついた順に放り込める
便利な道具だと思っていた。
……正確に言うと、
そう信じていた時期が、確かにあった。

先ほど、久しぶりに同級生から連絡が来た。

「お前、そんなに馬鹿正直に投稿しなくていいだろ」
なかなか要点を外さない指摘だった。

「バイトなうくらいで止めとけ」
という、実用的かつ冷静な助言付きで。
反論はできなかった。

なぜなら彼は、同い年でありながら、
無理のない距離感で
人生を回している側の人間だからだ。

一方の僕はというと、
何者でもない状態でSNSに現れては、
余計なことを言い、余計な本音を置き、
余計な恥を更新している。

ついさっきなど、
自分でも扱いに困る嗜好を、
誰に向けたのかも分からないまま、
タイムラインに流してしまった。

書けば楽になるわけでもない。
かといって、書かないと落ち着くわけでもない。

むしろ、言葉を重ねるほど、
自分で掘った穴に自分から降りていく感覚がある。

これは自己開示ではなく、恥の上塗りだ。
そろそろ、誰かに見せる前提の場所から、
一度、身を引いたほうがいいのかもしれない。

鍵をかける、というより、声量を下げる。
世界に向けるのではなく、記録として残す。

「ファボされたい」という病は、
思っている以上に、静かで、体の奥に残る。

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