モーレツな暑さと、冷めたココロ
モーレツな暑さになる――
そんな言葉を、もう何度聞いただろう。
毎夏の決まり文句のように
耳に残りはするけれど、
そのモーレツさが、
期待するほどの快感に変わることはない。
こんな些細で、
どうでもいい個人的な感想を、
こうしてわざわざ書き残しておく。
一昨年あたりから、
僕はドラッグストアに
足しげく通うようになった。
春はアレを求め、
秋はソレを探し、
冬にはコレを……という具合だ。
夏の本命は、制汗剤や冷却スプレー。
昔より暑くなったのか、
それとも僕がだらしなくなったのか。
たぶん、その両方だろう。
ふと気づくと、
ココロのほうはずいぶん冷めている。
それは、僕だけの話でもない気がする。
間抜けでいる余地が、
だんだん減ってきた。
どこかで体裁を気にして、
うっかり羽目を外すことも難しい。
そんなことを考えながら、
僕は今日も汗をぬぐっている。
汗かきなのだ。昔から。
襟足からじんわりと、
火照りが広がる。
だからせめて、
ココロと肉体の温度を
どこかで揃えたいと思った。
そこで手に取ったのが、
小林製薬の「シャツクール」だった。
裏面の説明書きには、
こうある。
「通勤通学前に使用すると、
満員電車や移動中も涼しく
カイテキに過ごせます」
カイテキ。
勝手に快感と読み替えた僕は、
迷わず4本まとめて買った。
青いスプレーに、
ほんの少しの期待を託して。
試してみると、確かに効いた。
湿度65%、気温28度あたりまでなら
ストロングミントの刺激が、
妙にクセになる。
だが、35度を超えた今日、
上半身にはほとんど歯が立たなかった。
腿や腰まわりに吹きつければ、
一瞬だけ涼しい。
だが、それも5分ほどで消える。
消費量だけが、
やけに増えていく。
説明書きを読み返して、
妙に納得した。
「満員電車や移動中も快適」
――人生を変えるとは、
どこにも書いていない。
それでも、
僕は今日も追加で4本を買った。
ほんの一瞬でも、
解放される感じがあるからだ。
つまらない日々に、
短い涼風を差し込むために。
モーレツな暑さと、冷めたココロ。
その狭間で、
僕は今日も小さな工夫を重ねている。
冷ややかさを、どうもありがとう。
ラベル: 長い文章

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