背中が少し軽くなる昼
今日、なんとなく。
紺屋町の路上で、女友達と
五ヶ月ぶりにばったり会った。
心の準備なしに人と遭遇するのは、
昔からあまり得意ではない。
こちらの都合などお構いなしに、
日常が割り込んでくる。
彼女とは、もう十五年ほどの付き合いになる。
長いといえば長いが、
関係性を説明するほどのものでもない。
その日はとにかく暑く、
僕たちは冷房を求めて
「イル・パパトーレ」に入った。
煮込みハンバーグのランチ。
スープ、サラダ、ライス、ドリンク、デザート。
昼には少し過剰なくらい、
きちんと揃ったセットだった。
「いただきます」よりも先に、
僕は最近の愚痴を話し始めてしまった。
女性をランチに誘っても、
断られることが多いこと。
もともと得意ではないが、
最近は自分が空気のように感じること。
言葉にしてから、
少し話しすぎたかもしれないと思った。
グラスの氷が、
かすかに音を立てたあと、
彼女は笑って言った。
「当たり前じゃん。
そんなこと言ってたら、距離置かれるでしょ」
余計な慰めはなかった。
正論だけが、すっと置かれた。
店を出ても、外の暑さは変わらない。
それでも歩き出すと、
背中がほんの少しだけ軽くなっていた。
ラベル: 日記

<< ホーム