7/15/2013

鼓動、それだけで


   「脈があると思いますか?」

二十一歳の青年がそう言った。
相手は、風俗で出会った女性だという。
唐突で、生々しくて、
それでも嘘ではなかった。
ちゃんと、生きている言葉だった。

脈?
あるよ。
君、生きてるじゃないか。

それだけで、もう十分で、
それだけでは、まだ足りない。

人付き合いは、
いつも心地いいわけじゃない。

春も夏も秋も冬も、
必ずどこかで引っかかる。

まして男女の間は、
甘くて、
甘すぎて、
ときどき苦い。

優しさは、脈じゃない。
むしろ、それは
距離が生まれる前触れだ。

それでも、
いまいましいと思う誰かがいて、
それでもどこかで
生きていたいと思えているなら、
それは脈だ。
それは鼓動だ。
それは、君の中で続いている物語だ。

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