使い古しの端末が、もう一度声を持つとき──commという静かな革命──
流行の波に乗り遅れたアプリが、
ある日、生活の風景を静かに変えることがある。
「comm」と聞いて、
すぐに思い浮かぶ人は多くないだろう。
少なくとも、僕のまわりでは誰も使っていない。
LINEが席巻するこの時代に、
commは、路地裏にひっそり残る喫茶店のような存在だ。
目立たないが、
一度入ると妙に落ち着く。
そんなcommが、
先日のアップデートで、少し面白い変化を見せた。
ひとつのアカウントで、
複数の端末を同時に使えるようになったのだ。
古い端末を手放せずにいる者にとって、
これは、はっきりとした変化だった。
たとえば、使い古したiPhone 4。
回線契約は切れているが、
Wi-Fiさえあれば、まだ役目は残っている。
自宅では無線につなぎ、
外ではポケットWi-Fiを持ち歩く。
それだけで、通話は成立する。
iPadでも、iPod touchでも、
同じアカウントが、そのまま使えた。
Wi-Fi越しの通話品質も、
思ったより悪くなかった。
この変化は、
端末の寿命を延ばす、という話だけではない。
使われなくなっていた機械に、
もう一度「声」の居場所を与える。
SoftBankのホワイトプランでは、
通話料が積み重なる。
docomoユーザーが多い環境では、
キャリアの違いが、
そのまま会話の距離になることもある。
commは、その壁を越える。
無料で、静かに、確実に。
もちろん、LINEの存在感は圧倒的だ。
もし同じことが、
最初からそこにあったなら、
多くの人は迷わずそちらを選ぶだろう。
それでも、
流行の陰でcommのようなアプリが、
使い古しの端末に、
もう一度役割を与えている。
それは、
都市の片隅で、
気づかれないまま灯りがともるような、
控えめだが、確かな美しさだ。
ラベル: 長い文章

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