3/22/2013

端切れの記憶と、そら豆のかたち


   振り返ると、
思いもしなかった出来事が、いくつかあった。
引越し、転校、入院、手術。
それに加えて、場違いな告白をしてきた女性たちの存在。
からかいか、気まぐれか。
いずれにせよ、他人事だと思っていた出来事が、
砂鉄のように静かにまとわりついてくる。

結局、人並みの範囲に収まるのだろう。
苦く笑うしかない。

──さて、今日の話。

右肩甲骨のあたりにできた腫瘍を切除した。
伏臥位のまま数本の局所麻酔。
刺入のたびに、針の先が体内のどこかを探る。
意識はある。

局所麻酔は、どうも好きになれない。
とはいえ、全身麻酔を思うと、
筋肉注射の太い針の記憶が蘇って、気分が悪くなる。

これで五度目の手術だ。
その蓄積が、こうして愚痴めいた文章を可能にしている。

「痛かったら言ってくれ」

そう言われて身体が硬直する。
実際は、かなり痛んだ。
けれど黙っていた。
腫瘍は予想よりも深かったらしい。

「パチン」「ポチン」と糸の音。
裁縫されているような感覚。
十一年ぶりだ。

手術は一時間。
摘出された腫瘍を見せられる。
大きい。こんなものが体内にあったのか。
形は、旬のそら豆に似ていた。

「この部分が腐った肉だよ」

と言われ、なぜか少し恥ずかしくなった。
無防備な表情を見せてしまい、医師は鼻で笑った。

月曜日に創部の確認、金曜日に抜糸。
病理検査の結果もそのうち知らされるだろう。

初めての日帰り手術だった。
とはいえ、制約は多い。
入院のほうが、むしろ気楽かもしれない。
不謹慎だが、事実だ。

週末は安静に過ごす。
結局、これまでの入院と変わらない。
厄介さは、いつも同じだ。

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