2/24/2013

ぬくもりの原価


   自分以外の人間に金を使うのは、
基本的にムダだと思っている。

僕は女性に贈り物をしたことがない。

ブランド物を気前よく買ってやる男もいる。
女の子を旅行に連れていく男もいる。

ご立派な話だが、
こちらとしては「大変そうだな」と思うだけだ。
尊敬は、していない。

僕のほうは、自分の飯と
飲み屋のつまみ代を捻出するので精一杯である。

実を言えば、明後日の晩あたり、
久しぶりにぬくもりを買おうかと考えていた。
少し寒く、気分が妙に余っていた。

念のため家計簿をつけてみると、
自由になる金は、5,611円。

この数字を見て、さすがに冷静になった。

よほどこちらに魅力があるか、
あるいは相手が深刻な事情を抱えていない限り、
この金額では難しい。

もし「サワリーマン」という職業があるなら、
僕はたぶん、不適格だ。

仕方がないので、今夜は睡眠を選ぶことにした。
無料の快楽、というやつだ。

睡眠Gooという言い方は古いかもしれないが、
あれはあれで、悪くない。

明日は、なるべく目立たぬように過ごすつもりだ。
いてもいなくても変わらない、
パジャマ姿の中年東洋人が部屋にいる。
それでいいのだと思っている。

ちなみに、家計簿の記帳に
スマホのアプリなど使ってはいけない。

金というものは、鉛筆で数字を書いてみて、
ようやく重みが出る。

日本の文房具は、その点よくできている。

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