1/13/2013

「おひとりさま」が軽くなった頃


   最近よく耳にする「おひとりさま」という言葉に、
少しだけ引っかかることがある。
それが状態というより、
ひとつのスタイルとして
語られているように聞こえるからだ。

スマートフォンを持ち、
SNSも使い、常につながっている。

それでも「ひとり」を選んでいる、という言い方。
実際には孤独というより、
距離の取り方に近いのかもしれない。

思い返せば、
昔にも似たような言葉があった。
体質だとか、
心の不調だとか。
説明としては便利で、
ときに自分を守ってくれる言葉でもあった。

僕自身は、長くひとりで過ごしてきた。
焼肉を一人で食べることにも、
いまさら理由はいらない。

静かで、
誰にも急かされず、
見られている感じがしない。
そう思えるようになるまでには、
それなりの時間がかかった。

だから、まだ二十代そこそこで
「もう十分ひとりだ」と言い切るのを見ると、
少しだけ、急いでいるようにも感じる。

ひとりでいることが悪いわけではない。
ただ、人に振り回され、うまくいかず、
引き返せない夜をいくつか通らないまま
選ばれる「ひとり」は、どこか軽い。

孤独は、最初から選ぶものというより、
遠回りの末に、気づけば立っている場所に近い。

世の中を、少し距離を置いて眺める視線も、
そのあとで、ようやく身につく。

今の「おひとりさま」は、
まだ途中の形に見える。
悪くはない。

ただ、落ち着くには、
もう少し時間が要る気もする。

そんなことを考えながら、
今日も一人で、肉を焼いている。

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