iPhone 3GSを下取りに出した日
下取りプログラムを使って、
三年使ったiPhone 3GSの白を手放した。
背面の下のほうに、細いひび割れがある。
当時、同じような症状が話題になっていたのを思い出す。
使っている間は、ほとんど気にしたことがなかった。
だが箱に戻す段になって、妙に目についた。
この端末には、通話も、メールも、
写真も、音楽も入っていた。
特別な使い方をしていたわけではない。
ただ、生活の多くが、
いつの間にかこの一台に集まっていた。
ポケットに入れて歩いた夜のことや、
待ち合わせの時間を確認した駅のホームのことを、
今さら思い出すほどでもないのに、
手放すとなると、そうした断片が浮かんでくる。
Appleという会社に、
特別な思い入れがあるわけではない。
神話めいた話にも、あまり興味はない。
細かな不具合に目くじらを立てるほど、
端末に理想を求めてもいなかった。
それでも、この下取りという手続きは、
単なる買い替え以上のものに感じられた。
何かを処分しているというより、
一区切りをつけている、という感覚に近い。
白いiPhone 3GS。
ひび割れは、そのまま返した。
中にあったデータと一緒に、
役目を終えた道具として。
こうして生活は、
少しずつ更新されていくのだと思う。
ラベル: 長い文章

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