8/25/2012

逃げても、既読──LINEと国境を越えた好意の話


   今日、LINEのアカウントを
また新しく作り直した。

二十三日前に削除したばかりのものを、
こっそりと、である。

目的はひとつだけ。
誰かの好意から、少し距離を置くため。

だが、逃げ切れなかった。

「おかえり~」

そんなメッセージが、あっさり届いた。

どうやら、相手のアドレス帳には
僕の連絡先が、まだ残っていたらしい。

削除されていないという事実は、
ありがたいことなのか、
それとも、逃げ場のない引力なのか。

このあたりの感情は、
都市の雑踏のように、整理がつかない。

それにしても、なぜか僕は、
好意を向けられる側に立ってしまうことがある。

不細工で、冴えなくて、
特別な何かを持っているわけでもないのに。

縁というものは、
こちらの都合などお構いなしにやってきて、
ときどき、距離の感覚を軽々と飛び越える。

できれば、
もっと静かな距離感で、
誰かと繋がっていたい。

だが、人生は思い通りにはいかない。
それを実感できるようになった時点で、
もう十分にオトナなのだろう。

逃げても、既読。
消しても、記憶は残る。

アカウントを消しても、
縁までは消えてくれない。

それが、
現代の孤独とつながりの、
少し厄介なかたちなのかもしれない。

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