明日を迎えるための、静かな読書
はぁ……と、誰にも聞かれないため息をつく。
気がつけば、また明日が来る。
いや、来てしまう、という感じに近い。
紙幣を得るために神経をすり減らす日々の途中で、
ときどき、理由もなく立ち止まることがある。
暮らしを、
前向きな言葉でうまく説明できないまま、
とりあえず今日をやり過ごす。
そんな姿勢が、いつの間にか
大人らしい顔として身についてしまった。
少し恥ずかしくて、
でも誰にも言えない。
たいていのことは、そうやって済ませている。
そんなある朝、新聞の片隅に載っていた
村上龍の「55歳からのハローライフ」
という連載小説に、ふと目が留まった。
壮年期を迎えた人々の、
静かな再出発を描いた物語らしい。
誰かに勧められたわけでもなく、
深い理由があったわけでもない。
ただ、そこにあったから、読んでみただけだ。
それでも、ほんの少し、
明日を迎える理由が増えたような気がした。
長い文章を読むのがしんどい日もある。
斜め読みしかできない朝もある。
それでも、数行の物語が、
心の奥に残ることがある。
盛れた写真をアップして、
手早く得られる幸福もあるけれど、
その裏側にある、
誰にも見せない風貌や気配に、
そっと寄り添ってくれる言葉も、確かにある。
この小説は、
そんな日々の隙間に、
静かに置いておける一冊なのかもしれない。
読まなくてもいい。
読めるときに、読めるだけ。
それだけで、
明日は、ちゃんとやってくる。
ラベル: 日記

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