金の蔵Jr.、両替町に灯る
7日、土曜日の夕刻。
まだ空に薄明かりの残る時間帯に、
静岡・両替町の一角で
「金の蔵Jr.」が店を開けた。
こうしたチェーン居酒屋の新店に、
つい足が向いてしまうのは、
地方都市で暮らす人間の習性のようなものだ。
都内ではすでに見慣れた
270円均一を売りにした店が、
ようやく静岡にも届き始めた。
それは流行というより、
街の呼吸が少し変わる兆しに近かった。
情報源は、いつものようにホットペッパー。
「オープン記念・5%オフ」という
控えめな文字を見つけ、
女子向け企画の多さに
わずかな居心地の悪さを覚えつつも、
きちんとクーポンを使った。
思えば静岡の夜は、
どこか常連であることを求めすぎる。
老舗の酒場や個人店の良さは確かにあるが、
一見でも、理由なく腰を下ろせる場所が、
もう少しあってもいい。
かつて「ちんどん」は、
その役割を担っていた。
軽やかで、それでいて芯のある店だった。
閉店のお知らせは、
今も街のどこかに空白を残している。
17時ちょうど。おそらくその日、
いちばん早く店に入った客は僕だった。
期待していた均一価格は、
すべての料理に適用されているわけではなく、
気まぐれに頼んだ皿は399円だったりする。
会計は、ほんの少しだけ背伸びをした数字になった。
それでも、悪くなかった。
むしろ印象に残った。
中でも気に入ったのが、
「つくね揚げちゃいました
with明太タルタル」という一品だ。 ふざけた名前に反して、
中身はきちんとしている。
明太子とタルタルの重なりに、
揚げたてのつくねの熱が絡み、
それだけで酒が進んだ。 タッチパネルの操作も快適だった。
三ツ星マートで
固いペン先と格闘してきた身としては、
それだけで時代が一歩進んだ気がした。
言語切替機能があるのも可笑しく、
意味もなく外国語表示にしてみたら、
注文のテンポまで
少し変わったような気がした。
ビールの銘柄だけは、
最後までよく分からなかった。
ロゴに見覚えはなく、
味は軽く、水のようだった。
何であれ、よく冷えていれば、
だいたい美味い。
このブログの更新も、
ずいぶん久しぶりになる。
長文は敬遠されがちだが、
飲んだ肴や、タッチパネルの感触について語るには、
やはりある程度の行数が要る。
言葉を並べているうちに、夜が少し整っていく。
そんな感覚が、まだ残っている。
酔いの余韻とともに、
文章を置いておきたい夜がある。
それだけで、十分だ。
近いうちに名古屋へ行く予定だ。
世界の山ちゃんで、手羽先の洗礼を
受けてこようと思っている。
ラベル: 食通風気取り



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