1/02/2012

箸を置く場所


   今日の朝食は、昨日と同じだった。
白い椀には、相変わらず苦手なお雑煮が沈んでいる。
膨らんだ餅が、静かに
こちらをうかがっているように見えた。
僕は目をそらす。昨日もそうしたし、
きっと明日もそうする。

ラーメンも得意ではない。湯気の向こうに漂う、
あの期待されている感じがどうにも気になってしまう。
麺を勢いよく啜るべきだという空気。
スープは残さないほうがいいという習慣。
そのどれにも、素直に身を預けられない。
 
焼肉も同じだ。
網の上で弾ける音が、
誰かの高揚を代弁しているようで、落ち着かない。
踊る脂にも心は動かず、
タレの甘さにも、気持ちは寄り添わない。

たぶん僕は、扱いづらい人間なのだろう。
誰かが用意した「美味しい」に、うまく寄りかかれない。
食卓に並ぶものが語りかけてくるように思えるとき、
僕は静かに箸を置く。

それは拒むためではなく、ただ距離を測るためだ。
誰かの「好き」に、僕が「嫌い」と言うことは、
世界を否定する行為ではない。
ただ、僕の地図が少し違うだけのことだ。

そして今日も、僕はお雑煮を見つめる。
椀の底に沈む静けさに、ほんの少し救われている。

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