1/01/2012

元日の食卓、静かにスパイスを選ぶ——薬膳カレーと去年の記憶


   お世辞も、正月らしいきらびやかさもない。
ただ、カレーを喰う。
今年の元日は、その一言で済むような気分だった。

夕食は薬膳カレー。
湯気に混じるスパイスの香りが、
胃より先に気持ちをほどく。
効能の話をするほど健康志向でもないけれど、
「整う」という小さな実感だけは
求めていたのかもしれない。

去年の元日は、赤から鍋だった。
辛さの段階を選んでいるときの、
あの冬の空気に合う熱を、
誰かと分け合っていたような記憶がある。

一年経つと、同じ日付も少し違う。
口に入れるものも、
そこで思い出すことも、
少しずつ、でも確かに変わっている。

誰かと囲んだ温度も、
ひとりで味わう静けさも、
どちらも自分の元日の風景だ。

今年は薬膳カレー。
来年の食卓には、どんな匂いが立っているだろう。

そのときの自分がどんな味を欲しているのか——
それを静かに、楽しみにしておこうと思う。

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