角ハイボール缶
いつからだったか、
自宅で飲むのは角のハイボール缶ばかりになってしまった。
サントリーの、あの黄色い缶だ。
コンビニで500mlを買ってきて、
そのまま冷蔵庫に放り込む。
少し前までは、もう少し気取っていた。
角瓶と炭酸水を冷やしておいて、
薄口のグラスに氷を入れ、
レモンを少し絞って──
そんな段取りも、今では面倒になった。
ぶきっちょな手元では、
うまく混ぜられなかったせいもある。
氷を敷いたグラスに注いで飲むようにと缶にはあるが、
僕はそのまま、缶の口に口をつけて、ごくり。
ぷっ、うぇーい──
などと小さく笑ってみる。
飲み口がよすぎるのが困りものだ。
気づけば、空き缶ばかりが机の上に増えていく。
いつだったか、二日酔いで
朝が立ち上がらなくなった日があって、ようやく気づく。
どうやらこの感じ、アルコール依存の
入り口らしい。笑いごとではない。
そんな折、風邪を引いた。
鼻声で始まって、やがて咳に変わった。
今日で禁酒四日目。
喉はむずむずと落ち着かず、
咳がひとたび始まると、しばらく止まらない。
肋骨が、妙にきしむ気がする。
月曜の朝、内科に行って薬をもらった。
クラビット、ダーゼン、ムコダイン──
まるで馴染みのない横文字たちに混じって、
咳止めのメジコンだけが、妙に心に引っかかった。
医師が言うには、
今年のゴールデンウィーク明けは
風邪が流行っているらしい。
そういえば、待合室の椅子もずいぶん混み合っていた。
酒を断っても、
思いのほか禁断症状というのは来なかった。
熱が出て、喉が痛くて、咳き込んで──
そういうものに負けているだけかもしれない。
それでも、今夜も冷蔵庫の中では、
銀色の缶が一本、静かに冷えている。
ラベル: 日記

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