ティファニーではない朝食を : 2001年の便意、2009年のまぶた
2001年10月14日(日曜日)
「光合成はせず」
晴れ。
今日も、ほとんど部屋の中。
若者らしくない休日の過ごし方に、ちょっとだけ自己嫌悪。
……だったのだけれど、朝は少しだけ外へ出た。
やたら早起きして、犬を連れて歩いた。
住宅街のはずれに出ると、
鉄骨むき出しの大型店舗が建ち始めていた。
個人の店はこれからどうなるんだろう。
人も同じで、食うか食われるか。
――なんて、いかにも若者らしい
哲学を口の中で転がしてみた。
二時間ほど歩いて、家に戻る。
トーストと昨夜の残りもので朝食。
クロワッサンもエッグベネディクトもないけれど、
「ティファニーで朝食を」
と名前をつけると、少しだけ洒落て見える。
そのあとベッドに潜り込み、昼まで気絶。
午後、目が覚めて簡単な昼食。
なぜか無性にお子さまランチが食べたくなった。
ケチャップの甘さと、小さな旗。
あの頃の感じを取り戻したかったのかもしれない。
近所のスーパーの弁当を囲み、
家族四人でにぎやかに食べる。
うるさい家だけれど、沈黙よりはずっとましだ。
……が、そのあと、急に腹の調子が崩れた。
静かな午後に、あり得ない音が鳴り響く。
笑いも気品もなく、ただ生きている音だけが残った。
一時間後には腹痛で身動きもとれない。
「ふくつう」――そんな単語が頭に浮かんで、
ああ、なんてくだらない一日だろうと思った。
それでも夜には回復して、チャーハンを食べた。
上の口も下の口も、どちらも黙らせて、
明日からは静かに働こうと思った。
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2001年10月15日(月曜日)
「明日でネット日記して1ヶ月」
気づけば、日記を書きはじめてもうすぐ一か月。
よく続いたと思う。
途中で飽きると思っていたのに。
書くネタは多くないし、人生にも起伏はない。
それでも、理屈と愚痴が僕の推進力らしい。
会社ではMさんの定年退職があった。
社長のスピーチが少しおかしかった。
「昭和48年入社、28年の勤続」と言うところを、
「48年間という長い間」と言い間違え、
時間まで引き延ばしてしまった。
さらに、
「夏の暑い日は熱いお茶をいれ、
冬の寒い日は冷たいお茶をいれ…」
という謎の功労紹介。
給湯室の話なのに、逆じゃないですか社長。
そんな調子で、社内は少し笑いに包まれた。
Mさんは苦笑い。
僕は自分の日記のネタが一つできたことに、
少しだけ感謝した。
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2001年10月16日(火曜日)
「テカる源氏の赤い日記帳」
夜八時半。
もう眠くて仕方がないけれど、
日記を書かないと落ち着かない。
最近は夜更かしばかりで、心身ともにぼろぼろ。
無料の快楽=眠りサービスは、もっと使っていいはずだ。
一日をひとことで表すなら「ムカついた」───
でも、金さえ入ればいいやと、妙に達観している。
日記を書くのも少しプレッシャーになってきた。
……じゃあ、やめちまえば?
いや、それでも書いてしまう。
書くことが、今日という日を証明してくれる気がするから。
2009年10月16日(金曜日)
「目が、目が」
晴れ。だるい。
このところ、ネットを完全に閉じている。
SNSの更新も止まったまま。
何かを発信したかったはずなのに、
その気持ちがどこかへ消えた。
とにかく目が疲れる。
画面を見るのがつらい。
「北の国から届いたブルーベリー」
なんていうサプリを飲んでも、
効くのはパッケージの言葉だけ。
目が、目が……とぼやいても、誰も気にしない。
だったら、まぶたを閉じるしかないじゃないか。
眠る。
それだけが、いちばん確かなシャットダウン。
今日も世界を少し閉じて、静かに目を休めよう。
ラベル: 再掲載「赤い日記帳」


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