今年は宇津ノ谷峠中毒だね:スペアのない直腸と、峠の話
連休の最終日。
天気は薄日ながらも悪くない。
蒸し風呂のような暑さは過ぎ、
南からの風がやわらかく肌をなでていく。
この五日間はほとんど在宅。
外に出たのは一日だけで、
その行き先が──宇津ノ谷峠だった。
冒頭の写真は明治トンネル。
赤煉瓦の質感が時代を物語る。
夜に立ち寄れば、肝試しの
舞台になりそうな寒々しさがある。
一本道で狭く、車は入れない。
……直腸に似ている。暗くて狭くて、
一車線。しかもスペアはない。
なぜ造物主は二車線にしなかったのか。
切れ痔に苦しむたび、不条理な設計を恨む。
こちらは新宇津ノ谷隧道(昭和第二トンネル)。
今年はなぜか峠に取り憑かれたように通い、
元日から数えて幾度目だろう。
キャバクラに夢中になっていた去年を思えば、
対象が変わっただけで熱は同じだ。
ただ、六月から三か月ほどは足が遠のいた。
理由は簡単で、夏の湿気に気力を吸い取られたからだ。
アジアモンスーン気候の前では、
人間などただの怠け者に成り下がる。
今回は老犬(十四歳・北海道犬)を連れて歩いた。
九月十三日と二十日の二度訪問。
特に事件はなかったが、ひとつだけ。
生まれて初めてミンミンゼミの姿を見た。
感慨深い発見だったのに、
カメラに収めたのはなぜかカマキリ。
そういう肩すかしも、峠にはよく似合う。
最後の一枚は、道端にぽつんと
残されていたブラウン管テレビ。
九月十三日にはあったが、二十日には消えていた。
取り残されたその姿は、
将来の自分を予告しているように見えた。
冷たくも正直な、鉄とガラスの廃墟。
思わずシャッターを切った。
痔、エンド。
──お尻にスペアはない。
だからこそ、峠も排便も、
通れるうちにきちんと通っておくしかない。
ラベル: お散歩写真機





<< ホーム