9/22/2008

ショ、タイ、ケン☆前編


   去る金曜日に僕は会社を休ませてもらった。
最もすんなりとはいかなかった。
僕のような不器用な人間にも、
もう少し人間らしい感情の揺れと
いうものを汲み取ってもらえたら……
と、そう思ったりもするのだが、それはさておく。

このところの不景気で
ピリピリした空気のせいか、
社長(ていうかドン)に意味不明な
逆ギレをくらったときの
ことを思い出したら、
頭の中にガラスの破片が
ばら撒かれたみたいになって、
気持ち悪くなってきた。

うっ、とトイレに駆け込んで、
2〜3回吐いた。

でも何も食べてないから、
出てくるのは胃液ばっか。 

ちょっとだけ落ち着いたころ、
頭の中のガラス片も消えてて、
波のような吐き気も引いていた。

ただ、耳の奥がむず痒いというか、
ザワザワするというか。

誰かに話を聞いてもらいたかったけど、
聞いてくれる人なんていない。

……センセイくらいか。

そう思って、脳神経系の
クリニックに行くことにした。

診察室にて職場でのパワハラの件を、
結論急ぎ気味にバーッと話したら、
センセイはわりと即答でこう言った。

「おかしい、点滴」

……なんだそれ。

一瞬、えっ何が?って思ったけど、
たぶん僕のことを「おかしい」と
判断して「点滴」で処理するってことだろう。
つまりは、そういうことなんだろう。

でもまあ、多少なりとも
ヒューズ飛んでる自覚はあったし、

逆に「あ、やっぱそうっすか」
みたいな気持ちで、
ベッドに寝かされて、静脈に点滴。

冷たい液体が、スーッと腕に入っていく。
これが効いた。びっくりするほど。

体の疲れがすっと抜けたのは
もちろん、なんか前向きな
気持ちにすらなった。

点滴っていうか、
精神安定剤? 合法の?
とにかく、なんだか安心
できたのは事実だった。

薬液が落ち着いたころ、
久しく覚えていなかった
空腹感がやってきた。

そういや最近ずっと、
空腹とか眠いとかの
感覚もなかったもんな…。

そういう本能的な感覚さえ、
ここしばらくは
遠ざかっていた気がする。

時計を見ると、すでに
12時を25分ほど回っていた。

いつもだったら、
あのデパートの上の大衆食堂とか、
ご飯とキャベツと味噌汁が
無限におかわりできるトンカツ屋
あたりに行くんだけど、
今日はなんか違うことしたい気分だった。

中華そば屋も頭をよぎったが、
気分には合わなかった。

そんな時になぜか
「マクドナルド行ってみようかな」という
気持ちが湧いてきた。

実のところ、僕はマクドナルドや
モスバーガー、
ケンタッキーフライドチキンと
いった店には、生まれてこのかた、
自分の意志で入ったことがなかった。
 
妹が買ってきた
白身魚のフライバーガーを、
家で食べたことがある程度だ。

一人で注文し、一人でその場で食事を
するというのは、僕にとっては未知の経験だった。

でも、点滴のおかげなのか、
「仕事してるはずの時間に自由」
っていう解放感のおかげなのか、
今日はなんか、そういう
新しいことがしてみたかった。

「サナル学園のCMかよ…」と、
ひとりでツッコミ入れて、ひとりで笑った。

まあ、いつも通りの
こんな僕(バカ)です。
よろしく頼みま酢。

で、少しばかりの勇気を出して、
某大手スーパー内の
マクドナルドへ足を運ぶ。

ちょうど、月見バーガーが
出ている時期だったが、
僕はそれを選ばず、ボリュームの
ありそうなメガマックのバリューセットと
いうものを注文することにした。

(カロリーの暴力。でかいし重いし。笑)

こうして書くと、すんなり注文、そして喫食
できたように見えるが、
実際には戸惑いの連続だった。

初めての体験で、
店員さんにご迷惑をかけたかもしれない。

小さな「勝負」だった。
けれど、僕にとっては、
ひとつの「挑戦」でもあった。

――その続きは、

後編に譲ることにしよう。

(大げさ)

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